6.勝負作物

新規就農をして、自分の作りたい作物を作るという人は多い。自分の好きな作物を作って年収1千万円は実現するだろうか。私はそういう人を知らない。年収1千万円の収入が可能な作物を栽培しなくてはならない。それは何の作物なのか。
何の作物を作っても年収1千万円になるわけではないということは、農家所得が証明している。それはなぜなのか。作物の価格と収量、そして労働力である。さらに病虫害、連作障害などの問題である。農作物の価格は単なる需給バランスで決定する。作る人が多くて市場に物が溢れれば、買う人が少なく価格は安い。買う人が多くて、物が少なければ価格は高い。作物の価値で価格が決定するわけではないのである。労働力というのも価格に反映されない。例えば育苗するものは手間がとてもかかる。育苗期間だけでも2か月にもなる。病虫害、連作障害はもっとひどい。生産者の苦労は見向きもされない。暴風雨の被害も同じである。このことに力尽きてしまう生産者はとても多い。廃業である。
これは青果物流通の仕組みであり、評価だからどうにかなるものではない。このような知識がなくては年収1千万円は夢のまた夢である。このような事情をすべて考慮した上で「勝負作物」を決定しなくてはならない。これは簡単なことではない。新規就農をする人でも、兼業から専業を志す人でも、この選択を間違う人は大半と言っても良い。勝負作物が理解できるようになったら、それだけでも相当なレベルなのである。
勝負作物とは、年収1千万円の収入を確実に実現してくれる作物を言うのである。それはある程度決まっているのである。何を栽培しても1千万円になるわけではないのである。育成塾は勝負作物についても指導する。